女性活躍推進法/事業主行動計画策定指針(1)

女性活躍推進法の特設Webサイトに、計画策定の指針や、施行通達がアップされています。
今後、数回に分けて女性活躍推進法の一般事業主行動計画について説明していきたいと思います。

ちなみにこの特設サイトには、Q&A集も掲載されていますので、作成していくうちに生じた疑問は、まずはここを見て確認するとよいでしょう。

事業主行動計画策定指針の第二部の内容に沿って説明をしていきます。まずは、第二部第一/女性活躍の意義、現状及び課題について説明します。

計画策定について説明をしなければならないわけですが、この記事ではその前提となる、女性活躍の意義、現状、課題について触れている個所について紹介したいと思います。
なぜなら、具体的な計画策定の手順の説明に入る前に、法の理念や、女性雇用の現状についてもう一度確認することは、計画策定にも重要であると考えるからです。
具体的な手順は次回以降紹介しますので、ご了承ください。

1 女性活躍の意義
女性の活躍というと、いわゆる「バリキャリ」と言われるような、出世コースでバリバリ働くキャリアウーマンを思い浮かべると思います。また、少し前までの議論として、女性の管理職登用が盛んに議論されていたように記憶しています。
しかし、この法律でいう女性活躍は、女性管理職比率といった一面的な内容ではない点に注意が必要です。指針にはこう書かれています。

女性の管理職比率の上昇は、女性の活躍の一側面を測るものであるが、女性の活躍は、それだけでなく、あらゆる職階や非正規雇用を含めたあらゆる雇用形態等で働く一人一人の女性が、その個性と能力を十分に発揮できることを目指して推進する必要がある。

非管理職層の正規従業員はもちろん、非正規雇用で働く女性を含めた、一人一人の女性が、その人らしい個性と能力を発揮できることが、この法律でいう女性活躍であることに留意が必要です。

2 女性活躍の現状
女性の雇用の現状として、半数以上が非正規雇用で、管理職に登用されているのは1割にも満たないと記載されています。1割という数字は、欧米諸国だけでなく、アジア諸国と比べても低い水準と指摘しています。

3 女性活躍に向けた課題
以下に述べる雇用管理の各段階において、男女間の事実上の格差があることが指摘されています。

1.採用
2.配置・育成・教育訓練
3.評価登用

そして、その背景として、性別役割意識、長時間労働の問題が存在しており、そのことは、出産・育児の際の継続就業にも影響を及ぼしていると指摘しています。

計画を策定する際に、現状分析や目標設定をすることになりますが、これらの課題認識を前提に実施することになります。従って、ここで述べたキーワードは、分析や計画段階でも目にすることになります。

ところで、性別役割意識については、戦後の高度経済成長期に確立された社会規範と言われています。「男は仕事、女は家庭」という社会規範の下、日本の雇用慣行や年金制度などが成立・発展してきました。
それがバブル崩壊後の90年代の低成長期以降、夫も妻も共に働くという社会が徐々に定着してきています。この法律はそのような社会を一層推し進めることになるのかもしれません。
私は、このような視点で、今後の社会がどのように進展していくのかを見ていくことはとても興味深いと思っています。

次回以降は、計画策定の具体的な手順について述べていきたいと思います。

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